リネンとは? 魅力や特徴、生地ができるまでを徹底解説
こんにちは!トートバッグ工房です。
普段何気なく使っていたり、着ることのある身近な素材のリネン。
そんなリネンについて詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。
身近な素材だからこそ、特徴を知って快適に過ごしたいものですよね。
先日、古代エジプトのミイラに対して包帯が巻かれたままCT検査が行われ
たとニュースになっていましたが、この包帯も高級リネンだったそうですよ。
さて、ここではリネンについての特徴や麻との違い、リネン生地が
できるまでなど、詳しくご紹介いたします。
1.リネンとは何か?
リネンは、亜麻(あま)と呼ばれる植物の茎から採れる繊維を
使って作られる生地です。
リネン生地は独特の光沢感とシャリ感があり、
使い込むほどに風合いが増すという特徴を持っています。
リネンの歴史は非常に古く、古代エジプトでは既に衣服や寝具として使用されていましたし、中世にかけてはヨーロッパでも家庭の必需品として愛されてきました。
また、リネンは混紡生地にも利用されています。代表的な素材では
コットンリネンがあります。コットンの柔らかさとリネンの通気性、
両方の特徴を併せもち、赤ちゃんの肌着などに利用されています。
2.リネンの特徴
リネン生地の魅力は、その機能性と見た目にあります。
ここではリネンの主な特徴について紹介します。
優れた吸水性と速乾性
リネン生地は吸水性が高く、綿(コットン)の約4倍もの水分を
吸収すると言われています。夏の汗ばむ季節でも、さらっとした肌触りを保つ
ことができるのはこの特性のおかげです。
さらに、吸った水分をすぐに発散する速乾性もリネンの大きな魅力です。
高い耐久性
リネンは、天然繊維の中でも特に強い素材です。
繊維が長くしっかりしているため、摩耗に強く、長く使い続けることができます。
リネンのシャツやシーツが何年も使えるのは、この耐久性の高さによるものです。
風合いの変化
使い込むほどに柔らかくなるのもリネンの魅力のひとつです。
最初は少し硬いと感じるかもしれませんが、洗うたびにしなやかになり、
肌に馴染んでいきます。使えば使うほど愛着が湧く、そんな生地がリネンです。
通気性の良さ
リネンは繊維の間に隙間が多く、そのため通気性に優れています。
暑い夏場でも風が通るため、涼しく快適に過ごすことができます。
3.リネンと麻の違い
「リネン」と「麻」は混同されがちなので、整理しておきましょう。
リネンは麻の一種で、麻は植物から作られる繊維の総称です。
- リネン:亜麻という植物から作られる繊維を原料とした糸や生地の総称
- 麻 :麻は広い意味で天然繊維を指し、リネンも含まれています
麻はリネン(亜麻)の他、ラミー(ちょ麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)など、
さまざまな種類があります。リネンは麻の中でも特に高級とされています。
リネンやラミーは衣服やタオルなどの日用品に多く使われていて、
リネンは比較的柔らかい素材であるのに対し、ラミーはコシがある素材です。
ジュートは麻袋やカーペット、ヘンプはロープなどに使用されることが多いです。
ジュートについてはこちらで詳しく解説していますので、
気になる方はご覧くださいね。
4.リネン生地ができるまで
リネンの原料である亜麻(フラックス)の栽培から、生地になるまでの流れを見ていきましょう。
亜麻の栽培
亜麻は冷涼な気候を好む性質があります。
主にフランス、オランダ、ベルギーなど
ヨーロッパを中心に栽培され、日本国内では北海道が栽培に適しています。
亜麻は他の作物に比べ、少ない水と肥料で育つため、
環境負荷が少ない植物でもあります。
亜麻は写真のような小さなブルーの花をたくさん咲かせます。
とってもカワイイですよね。
収穫と乾燥
亜麻は約100日ほどで成熟します。花が咲き、茎が茶色くなった頃に収穫され、
茎の水分を飛ばすために乾燥させます。
繊維の取り出し
茎の外皮を取り除いて繊維を取り出す作業が行われます。
この工程では水や微生物の力を利用して、不純物を分解します。
糸紡ぎと織り上げ
取り出された亜麻の繊維は糸状に紡がれます。このリネン糸を織り上げることで、
シーツや衣服に使われるリネン生地が完成します。
このように、リネン生地ができるまでには多くの手間と時間がかかりますが、
その分環境にやさしく、丈夫で長持ちする生地が生まれるのです。
5.リネンの歴史
世界最古の繊維のひとつとされているリネンの歴史をみていきましょう。
古代
紀元前8000年頃、チグリス川、ユーフラテス川の辺りで人類最古の繊維として
リネンは使われ始めました。
紀元前3500年頃には、エジプトの交易品としてリネンが登場します。
この時代のリネンはとても高級品。宝石と交換されていたそうですよ。
リネンはミイラを包む布や、王族の衣服として重宝されました。
中世
12世紀頃には、リネンはヨーロッパでも重要な素材となっていました。
衣類や寝具、テーブルクロスなど、リネンは身近な繊維で
生活になくてはならない布でした。
近世
ヨーロッパで産業革命が起こった18世紀後半、機械化によって
リネンの生産は加速し、世界中に流通していきます。
なお、現在世界のリネン生産高はヨーロッパが90%以上を占めています。
有名なリネンでは、フランス産の亜麻から作られる「フレンチリネン」
ベルギー産の亜麻から作られる「ベルギーリネン」などがあります。
日本でのリネンの歴史
古来、日本において麻と言えば「大麻(たいま)」か「苧麻(ちょま)」でした。
今でも神社のしめ縄には大麻が使われています。
ですが、この大麻は繊維が硬かったため当時の技術での紡績は難しく、
舶来の亜麻がそれにとって代わります。
明治時代になると北海道で本格的な亜麻事業がスタートします。
そこから生産量は増え続け、昭和初期にピークを迎えます。
その生産量は、現在のヨーロッパの約1/2に相当するそうです。
すごいですよね。
大きな産業に成長した国産リネンですが、1900年代半ば、安価な合成繊維
の普及などでその規模は急速に小さくなり、今ではほとんど生産されなく
なりました。
リネンといえばヨーロッパのイメージが強いと思いますが、日本にもこんな歴史
があったなんて意外ですよね。
このように、リネンは長い歴史の中で常に人々の身近にあった素材なのです。
6.リネンが使われている日用品
リネン生地はその機能性や美しい風合いから、日常のさまざまなシーンで活躍しています。
リネンシャツなどの衣類
リネンシャツやリネンワンピースは、夏の定番アイテムです。
通気性が良く涼しいので、汗ばむ季節でも快適に過ごせます。
リネンシーツなどの寝具
リネンシーツや枕カバーは吸水性と速乾性に優れているため、寝汗をかいても
サラッとした肌触りを保ちます。夏場は特に重宝されるアイテムです。
リネンのテーブルクロス・キッチンタオル
リネンのテーブルクロスやキッチンタオルは、吸水性が高く耐久性も抜群です。
食卓に自然な風合いを加え、日常使いにもぴったりです。
リネンカーテン
リネンカーテンは適度な透け感があり、部屋に柔らかな光を取り入れます。
ナチュラルな雰囲気を演出するインテリアとして人気です。
リネンバッグ
リネンバッグは軽くて丈夫なため、普段使いのエコバッグやトートバッグ
としても活躍します。
7.リネンは洗濯できるの?
リネンは洗濯機で洗えるものの、摩擦で表面が毛羽立ちやすかったり
シワになりやすく、よれたり型崩れしやすかったりします。
- 洗濯機ならネットに入れて優しく洗うコースを選ぶ
- 色ものの場合は、色移りしないように他の洗濯物と分けて単独で洗う
- 中性洗剤を使う、可能ならオシャレ着用の洗剤を使う
- 脱水時間を短くしシワをつきづらくする
- 色褪せを防ぐために日陰干しする
- シワや型崩れを防ぐために濡れ干しか平干しで乾かす
など洗濯の際にはご注意くださいね。
リネン生地を洗濯する際は、適切な方法でお手入れしましょう。
8.コットンリネンのバッグ
トートバッグ工房ではコットン・リネン混紡生地のバッグを取り扱っています。
一般的にコットンリネン、あるいはリネンコットンと呼ばれるこの生地は、
コットン(綿)の柔らかさや保温性、リネンの通気性やシャリ感など
それぞれの素材の良いところを兼ね備えているのが特徴です。
当店では生地の厚みの違いで、薄手生地(8.9オンスまで)をコットンリネン、
厚手生地(9オンス以上)をキャンバスリネンとしています。
ぜひご覧ください。
※オンス(oz)とは
正確には重量の単位であるオンスですが、生地厚みを示す指標として
一般的に使用されています。
数値が大きいほど、厚みのある(=重量のある)生地になります。
おすすめ商品のご紹介
9.まとめ
古くから暮らしの中で愛されてきた天然繊維のリネン。
その特徴から日常の様々なシーンで利用されているのも納得ですね!
ところで、ホテルや病院などでリネン室を見かけたことはありませんか?
この場合のリネンとは、シーツやタオル、テーブルクロス、ナプキンなどの
布製品全般を指しています。素材は麻に限らず、綿やポリエステルなども含みます。
歴史的にリネンがシーツやタオルに広く使われてきた名残で、現在でもリネンという
言葉が使われているようです。
決して、経営の理念を考えている部屋ではありませんので、ご安心(?)ください。
この記事を監修してくれた「トートバッグ博士」
山本 禎久(やまもと よしひさ)
株式会社エーリンクサービス 代表取締役
昭和48年生まれ 福井県越前市出身
趣味は山登りとゴルフ、好きなトートバッグのカタチは「船底クラシックトートバッグ」。
スピードと挑戦を求め続け、社内で誰よりもトートバッグに見識がある。
大阪学院大学を卒業後、営業、物流、製造業務など多くの職種に従事。退職後、2009年に販促バッグ等の製造、輸入、販売を手掛ける株式会社エーリンクサービスを設立。『考える価値創造集団』を経営理念に掲げ、従業員一人ひとりが積極的に考え、行動することでトートバッグ専門店としての新サービスを企画・発信し続けている。
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