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帆布(はんぷ)やキャンバスとはどんな生地?号数・オンスや製造方法などを解説!

帆布(はんぷ)やキャンバスとはどんな生地?号数・オンスや製造方法などを解説!

こんにちは。
商品化するにあたり素材選定から携わっている山田です!

トートバッグの素材として定番でもある「帆布(キャンバス)」。
あなたも一度は耳にしたこともあるのでは…?

そもそも帆布(キャンバス)とは
「綿や麻で織られた平織りの厚手生地のこと」を言います。
日本では昔、帆船の材料として使用されていたことから
「帆布(はんぷ)」と呼ばれています。

ちなみに「canvas(キャンバス)」の語源は『麻で作られたもの』の意。
ギリシャ語から派生していると言われているそうです!

そんな帆布(キャンバス)について深く紹介していきます!
※画像はすべてイメージ

1.帆布生地って何に使われているの?

油絵の画材にも使われている「帆布(キャンバス)生地」
14世紀も前から使用され始め、
当時は刺繍のベース生地や兵士の盾の補強材として活用されていたそうです!
(意外にも歴史は長いようです……!)

大きな特徴として、「強度」があります。
これを生かして帆船の帆、テント、パラシュート、
石炭運搬用袋、靴など強度の必要なものに使用されてきました。

帆布のトートバッグ

そして時代の変遷とともに新しい素材の登場もあり、
その役割を変えながら、現在でもさまざまなものに利用されています。

帆布(キャンバス)生地の用途例をいくつか挙げてみます!
(現在のものです…!)

  • トートバッグ
  • エプロン
  • 手袋
  • 椅子の張地
  • ハンモック
  • サンドバッグ
  • 野球のベース
  • テント材

しかし,残念ながら「帆布(キャンバス)」の需要は一時と比べ、
減少している
というのが現状です。

大きい理由として、化学繊維の発展があります。
機能性や強度、耐久性に優れていて、メンテナンス性が高く、
さらに安価という点が「帆布(キャンバス)」にとって代わっているようなんです……!

ですが、伝統や装飾性、帆布ならではのテイスト、
またナイロンなどに比べて環境にやさしい生地との理由で
利用が見直されているのも事実
です!

2.号、オンスとは?

一般的には、綿100%で製作された生地を指す
「帆布」と「canvas(キャンバス)」

基本的に意味は同じですが、
バッグや雑貨業界では微妙に内容が異なります

「帆布」は多くの場合、日本製のキャンバス生地に、
そして、「canvas(キャンバス)」は海外製のキャンバス生地
多く使用されているのです!

またそれぞれ、厚みによって質感や価格が大きく変わります。
その厚みを表す単位として「号」「オンス(oz)」があり、
一般的に日本製は「号」海外製は「oz(オンス)」で表示します。

製造の段階でこの厚みの基準が違うことが、
意味は同じでも日本製の「帆布」と海外製の「canvas(キャンバス)」
それぞれの取り扱いが別物になるひとつの要因となっています!

それではまず先に「号」の基準表を紹介します!

号数 原糸撚り 密度(本/inch) 重さ
経糸 たていと 緯糸 よこいと 経糸 たていと 緯糸 よこいと g/㎡
1 7 8 28-32 18-22 1014
2 7 8 28-32 16-20 941
3 6 6 28-32 19-23 867
4 6 5 29-33 18-22 794
5 4 5 32-36 23-27 720
6 4 4 32-36 23-27 647
7 3 4 34-38 24-28 573
8 3 3 34-38 24-28 500
9 2 3 44-48 33-37 510
10 2 2 45-49 34-38 428
11 2 1 43-47 39-43 343

号数が小さいほど、経糸緯糸の本数が増え、
結果
厚みがある(=重量が大きい)生地になります

※この基準(JIS L3102)は1997年廃止。
それ以降新しいJIS基準はありませんが、
日本の多くの製織業はこの基準をベースに生産を行なっています!

JISとは?

日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)で、
日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のことです。

一方、「oz(オンス)」は1平方ヤードごとの重量(オンス)となります。
つまり、単位面積当たりの重量を見て、
その
数字が大きいほど厚みがあるというわけです。

ちなみに世界市場では「oz(オンス)」が
一般的なキャンバスの厚みの単位
となっています!

次に「号」と「oz(オンス)」の関係を表にしてみました!

単位 重さ 重さ 重さ 単位
号数 g/平方
メートル
g/平方
ヤード
オンス/平方
ヤード
オンス(oz)
1 1014 848 30.0 30.0
2 941 787 27.8 27.8
3 867 725 25.6 25.6
4 794 664 23.5 23.5
5 720 602 21.3 21.3
6 647 541 19.1 19.1
7 573 479 16.9 16.9
8 500 418 14.8 14.8
9 510 426 15.1 15.1
10 428 358 12.6 12.6
11 343 287 10.1 10.1

1平方メートル単位あたりの重量として比較すると、表のようになります。
※綿帆布の基準です

配布のしやすさ、日常での使い勝手でも弊社で人気のキャンバストートバッグ。
ご注文をご検討中のお客様には無料サンプルサービスもございますので、
生地感についてもお気軽にご相談くださいね!^^

3.帆布生地の製造方法

帆布生地は、主に「シャトル織機」「レピア織機」で製造されていました。

帆布でも緯糸(よこいと)の両端が
切れてしまった(両端が使えない)生地と、
両端に“耳”がついていて、そのまま使用できるセルビッチ生地があります。
このセルビッチ生地の製造には「シャトル織機」が必要となります。

シャトル織機とレピア織機で製造した生地の違い

シャトル織機は、緯糸を飛ばしながら
シャトルが織機の左右を往復する織機で、
生産性はあまり良くなく、
現在はほとんど製造されていない旧式の織機
です。

ちなみにシャトル織機の「シャトル」とは、
日本語では「杼(ひ)」と呼ばれ、
織物を織るときに緯糸の間に経糸(たていと)を通すのに使われる、
舟形の織機用具です。

現在使用されているのは旧式の織機をメンテナンスしながら
使用しているところがほとんどだとか……。
(もう織機の部品も生産されていないんですね……)

そのため、シャトル織機で製造される帆布生地は
今後ますます生産量が減少していき、
レアな生地になっていくでしょう……!

シャトル織機

ちなみに現在では、
水の噴射により緯糸を飛ばす「ウォータージェット織機」と、
空気の噴射により緯糸を飛ばす「エアジェット織機」
が主流となっています。

また、色・柄ものでは、
糸の状態で染色を行なった後に、製織(せいしょく:生地に織る)する「先染め」と、
製織を行った後、生地の状態で染色を行なう「後染め」があります。

帆布(キャンバス)生地で、
なおかつ縞状(しまじょう)や
格子状(こうしじょう)模様のものの多くは「先染め」の生地。
黒や紺、赤など全色がついているものは、ほとんどが「後染め」の生地となります。

帆布(キャンバス)生地の製造では、
設定や段取りに時間がかかるので、
ある程度のロット数が求められます(ロットが小さいと、コストが上がります^^;)

4.主な生産地ってどこ?

日本では、岡山県倉敷市が帆布(キャンバス)製造の主要産地です!
国内の約7割がここで生産されています

デニムの生産拠点としても有名ですよね!^^

岡山県倉敷市は、コットン製生地の染色など、
生地の後加工から縫製まで行なう製品製造業も集積。
日本のアパレル業界、雑貨業界にとっても重要な生産拠点でもあるのです!

世界的に見ると、やはりトップは中国!
綿花(めんか)の生産量が世界一であることに加え、
綿生地の生産量も多いです。

綿花

近年、中国の人件費高騰もあり、
製織工程や縫製工程がベトナムなどの東南アジアやインド、
バングラディッシュといった南アジアにシフトしていますが、
未だ多くの生地が中国から輸出されているようです。

中国に続いて帆布(キャンバス)生地の生産量が増加している南アジア。
当地での綿花生産が盛んな上に、
ヨーロッパ市場向けの綿製品などを生産する傾向があるようです!
また、アメリカでも綿花生産が多いですが、
原材料として輸出されるものが多く、
帆布生地の生産量はそれほど多くないとか。

5.さまざまな“後加工”ができる帆布生地

生地になった帆布(キャンバス)は、用途にとってさまざまな後加工が施されます!

日本製の帆布は椅子の張地やテント材に使用されていることもあり、
“生地が固い”という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

それは生地が厚い上に、糊付け加工をしているから。
生地を固くする目的の他に、
汚れにくくするためや防水性を高める効果があるそうです!

防水性を高める方法には、「パラフィン加工」があります。
ロウソクにも含まれる水に溶けない成分を生地に浸透させることで、
撥水性をもたせる加工です。
また、使い込んでいくうちに出る独特のエージングを出すことができます!
エージングは日本語で言うと、年月をかけて味が出る、といった感じですね。

その他にも染色加工やダメージ加工などの後加工をすれば、
独特の質感を演出することができ、
よりオリジナリティ溢れるものを作ることが可能です。

6.帆布とそっくり!「ダック生地」とは?

帆布生地ととてもよく似ている「ダック」という生地があります。

「Duck(ダック)」はオランダの“リネン製キャンバス”という意味の
「Doek(ズック)」から由来しています

(アヒルとは関係ありません……^^;)

ちなみに「リネン」は日本語で「亜麻(あま)布」と呼ばれ、
亜麻の繊維を原料とした織物の総称です。

このダックを正式に規定したものとして、
1924年に当時アメリカ合衆国商務省の基準局が発行した
『Development of the Standard Numbered Cotton Duck Specification』
という書類があります。
直訳すると「規定されたコットンダック仕様の開発」というような感じでしょうか。

当時ダック生地は、
特にアメリカ政府によって様々な用途で使用されていたようです。
しかし、その際の仕様についての基準が曖昧であったため、
基準を統一して、生産者、利用者共に利便性を上げようということで、
この書類が作成されました。

品質項目について、政府調達や製造者の生地スペック指標として活用する目的として、
当時、流通していた生地の検査を実施したレポートなどが記載されています。

その中でダック生地の基準も詳細に指定しています!

この書類には号物ダックの定義とダックの号数に計算法が示されています。

ダックの
ナンバー
重さ
オンス/1ヤード
×22インチ
1 18
2 17
3 16
4 15
5 14
6 13
7 12
8 11
9 10
10 9
11 8

号物ダックの定義は『諸撚糸された糸で平織りされたコットン生地』、
ダックの号数基準は
『19-(経糸方向1ヤードx22インチの面積の重量
(オンス))』
と定められています

表を見るとダックもJIS規格の綿帆布同様、
号数が増えるほどに、生地の厚みは薄くなっています

かなり帆布生地と似ていますよね!
JISとは

アメリカのダック基準の発行が1924年、
JISの綿帆布の基準制定が1954年なので、
もともとアメリカの基準が年月の経過によってやがて日本基準となり、
JIS規格の参考になったと推測されます。

結局は、帆布(キャンバス)とダックは
基本的には同じものという解釈でいい
と思います!
ただ、号数やスペックの基準が違い「帆布(キャンバス)」は日本で、
そして「ダック」はアメリカというそれぞれの国で使用されて一般化し、
独自に基準化された厚物平織り生地です。

そして「canvas(キャンバス)」は、厚物平織り生地の世界的共通名称になっています!

7.まとめ

細かい話になってしまいましたが、帆布生地は昔も今も愛され、
歴史あるものだということが伝わったと思います。
なおかつ、丈夫で加工もしやすいとなると可能性は無限大ですね……!

弊社の製作事例を紹介しておりますので、
素材を「キャンバス」で絞り込んでいただき、ぜひご覧ください!

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この記事を監修してくれた「トートバッグ博士」

山本禎久

山本 禎久(やまもと よしひさ)
株式会社エーリンクサービス 代表取締役

昭和48年生まれ 福井県越前市出身
趣味は山登りとゴルフ、好きなトートバッグのカタチは「船底クラシックトートバッグ」。
スピードと挑戦を求め続け、社内で誰よりもトートバッグに見識がある。

大阪学院大学を卒業後、営業、物流、製造業務など多くの職種に従事。退職後、2009年に販促バッグ等の製造、輸入、販売を手掛ける株式会社エーリンクサービスを設立。『考える価値創造集団』を経営理念に掲げ、従業員一人ひとりが積極的に考え、行動することでトートバッグ専門店としての新サービスを企画・発信し続けている。

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